実行可能な実用シーン

現在私たちがBioTech技術を用いて実行可能な事例には以下のようなものがあります。

・有機物・有機化合物・揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の無害化
・ベンゼン環・PCB・ホルムアルデヒドの分解(シックハウス症候群の無害化)
・化学物質過敏症対策
・汚染土壌の浄化、無害化
・廃棄物の減容
・堆肥(Compost)、好気性菌を用いた完熟発酵堆肥

その中でも特に「堆肥化」について以下で詳しく説明します。

堆肥とは

堆肥化とは、BioTechの実用シーンとしてその応用方法の一つであり、微生物などの生物の働きによって分解・腐敗させた汚染物質を肥料として利用できるようにした「堆肥」に変換することを指します。一般的には、家庭から出る生ごみや草木の切りくずなどを集めて、それらを堆肥化することで、自然な肥料を作り出すことができます。また、農業や園芸、植木鉢などで使用される土壌改良剤としても使われています。堆肥には、土壌に必要な有機物や微量元素を含んでおり、土壌を健全に保っためにも役立っています。堆肥化の方法には、自然堆肥化や人工堆肥化などがあります。自然堆肥化は、野外に堆肥を積み上げ、自然界の微生物によって分解される方法であり、人工堆肥化は、特定の条件下で微生物の繁殖を促し、分解を早める方法です。

私たちはこの技術を実際にダム底泥に対して行うことで、堆肥化を成功させました。(詳細はこちら)

堆肥の効果

堆肥は、土壌の肥沃度を高めるために使用される有機物の混合物です。堆肥を使うと、以下のような効果があり、持続可能な農業や園芸のために重要な役割を果たすことができます。

  1. 土壌改善:堆肥は、土壌の構造を改善し、空気や水分が保持されやすくなります。また、土壌の保水性を高め、水はけを改善します。
  2. 栄養補給:堆肥には、植物の成長に必要な栄養素が含まれています。例えば、窒素、リン、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどが含まれます。
  3. 土壌の酸性度の調整:堆肥は、土壌のpH を中性に近づけることができます。これにより、植物の栄養吸収が容易になります。
  4. 病害虫の予防:堆肥には、植物に対する病害虫の予防効果があります。有機物が微生物によって分解されると、微生物が植物の病原菌や虫を寄せ付けない物質を生み出すからです。
  5. 環境保護:堆肥は、廃棄物の再利用による資源循環に貢献するため、環境保護にもつながります。

堆肥化の過程

堆肥化は、有機物を微生物によって分解し、肥料として再利用可能な有用な土壌改良材料を作り出すプロセスです。一般的に堆肥化のプロセスには以下のような段階があります。

  1. フードストックの準備:堆肥化プロセスの最初の段階は、堆肥にする有機物を集めることです。このフードストックは、家庭からの食品廃棄物、農業廃棄物、草刈りなど、さまざまなものが含まれます。
  2. 堆肥化の開始:フードストックが準備できたら、堆肥化を開始します。通常、フードストックを堆肥化するための最適な条件は、温度、湿度、空気循環、pH値などです。これらの条件は適切な微生物の成長と、有機物の分解を促進するために管理する必要があります。
  3. 分解の開始:堆肥化プロセスが開始されると、微生物がフードストックを分解し始めます。一般的に、このプロセスには細菌、真菌、そして緑藻が関与しています。これらの微生物は、有機物を酵素によって分解し、炭素、リン、カリウムなどの栄養素を解放します。
  4. 二次処理:堆肥化プロセスが進むにつれ、堆肥の温度や湿度が変化することがあります。この場合、堆肥の品質を改善するために、堆肥を転換することが必要です。このプロセスは、酸素の供給を促進するために行われます。
  5. 熟成:分解が完了すると、堆肥は熟成されます。このプロセスでは、有機物の分解によって生じた温度が下がり、微生物がより細かい有機物を分解し、より安定した物質を生成します。堆肥が熟成されると、肥料として利用できるようになります。