概要
2011年3月末に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故により、周辺地域の農業用ため池からは放射性セシウムに汚染された高線量の底質が流出する危険性が指摘されています。当社独自に開発された加圧溶解方式の汚染水浄化装置「SepaTechマイクロバブルシステム」はこのような放射性物質除去に大きな成果が期待されます。
2014年12月、当社独自の技術であるSepaTech(セパテク)を利用することで、福島県川俣町の笠松池にて底質の放射性セシウムを70%以上除去することに成功しました。このページではこの事例における手法や結果について概説します。
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目次
・ ため池の概要と実施前の状況
・ 施工方法
・ 施工結果
・ 施工過程写真
ため池の概要と実施前の状況
東電福島第一原子力発電所から放出された放射性セシウムは、ため池の水面、周辺の地面や山林に降下しました。ため池の水面に降下したものは水中を沈んで底土表層に沈着し、周辺の地面や山林に降下したものは雨によってその一部が同様にため池の底土表層に流入、堆積しています。流入しやすい土は粒径の小さいものであり、粒径の小さい土や粘土鉱物には放射性セシウムが強く沈着しているためその濃度は高くなります。また、ため池に入り沈殿している落ち葉などにも放射性セシウムが付着しています。
施工場所:福島県伊達郡川俣町大字小神字久路須地内笠松池
貯水量:3500m^3
汚染底質の推定量:
貯水量3500m^3 / 堤高4m * 厚0.1m = 87.5m^3


施工方法
底質に沈着した放射性セシウムの除去を目的とした本作業では、マイクロバブルを活用した浮上分離工法を採用しました。
作業手順:
- 施工準備:作業区域の整備、機材設置、仮設設備(テント・トイレなど)の設営、ため池周囲の洗浄。
- 状態調査:施工前・中間・後に底質および水の採取・分析を実施。
- マイクロバブル注入:
- 第1期:マイクロバブルを注入し、底質表層の微粒子・有機物の浮上を促進。
- 第2期:ジェット水流を併用し、より効果的に底質を撹拌・浮上回収。
- 浮上物の回収・処理:浮上した汚泥を回収し乾燥後に袋詰め。濃度測定後、適切に仮置き。
- 安全対策:ライフジャケット・マスク着用、放射線管理(個人線量測定、表面汚染検査)を徹底。
施工結果
底質の試料をコアサンプラーで採取して、放射性セシウム濃度を測定することで評価しました。先ほどの図1に示した3地点で底質サンプルの採取を行ったところ、以下の表1に示されるようにいずれの地点においても放射性セシウム濃度はテスト前に比べて約70%以上減少しました(平均値77%)。貯留水に関しても全て検出限界値以下となりましたが、これは「セパテク・マイクロバブルシステム」の工法が貯留水への放射性セシウムの溶出や底質の巻き上げによる貯留水の汚染がなかったことを示しています。
採取地点 | 施工前 | 施工後 | ||
---|---|---|---|---|
¹³⁴Cs | ¹³⁷Cs | ¹³⁴Cs | ¹³⁷Cs | |
① | 77.8 | 291 | 21.1 | 92.4 |
② | 106 | 437 | 20.7 | 106 |
③ | 29.1 | 67.3 | 10.6 > | 10.2 > |
貯溜水 | 9.78 > | 8.92 > | 8.51 > | 10.2 > |
(注)>は検出限界未満 単位:Bq/kg
セパテク®は約40時間運転
現在、放射性物質の除去にゼオライト、スメクタイトなどの層状ケイ酸塩、鉄系鉱物、炭化物、層状複水酸化物などを吸着剤として使用されていますが、汚染物質を吸着した吸着剤の処理に関して問題となっています。そのようなことから「セパテク・マイクロバブルシステム」は放射性セシウムの低減と処理に関して優位性があると考えられるでしょう。