従来の浄化技術

従来手法とその課題

これまで水質浄化の現場で広く使われてきた代表的な処理手法には、それぞれに特有の課題があり、すべての汚染に対して万能ではありません。ここでは、従来の5つの代表的な手法とその限界について紹介します。代表的な手法としては、物理的処理、化学的処理、生物処理、吸着処理、化学酸化処理などが挙げられます。

物理的処理

沈殿やろ過、浮上分離といった手法によって固形物や浮遊物を取り除くことができますが、水中に溶け込んでいる有機化合物や重金属イオンなどは対象外です。特にろ過処理では、目詰まりや性能低下が避けられず、フィルターの定期的な清掃や交換が必要となるため、運用コストや管理の手間が大きな課題となっています。

化学的処理

凝集沈殿や中和、酸化還元反応などの化学薬品を用いることで汚染物質を沈殿・分離させる方法ですが、処理に必要な薬剤コストが高く、副反応によって新たな有害物質が発生するリスクもあります。加えて、排出された薬剤反応生成物の処分にも配慮が必要となり、トータルコストや環境負荷が問題視されています。

生物処理

活性汚泥法や生物膜法のように微生物の力で有機物を分解する技術で、特に生活排水や工業排水処理で広く用いられています。しかし、これらの処理では十分な分解活性を維持するために大規模な処理設備と高度な管理が求められ、酸素供給や温度・栄養条件の維持にかかるコストが高くつきます。さらに、難分解性化合物に対しては分解が進まない場合も多く、適用範囲に限界があります。

吸着処理

活性炭やイオン交換樹脂を利用して水中の有害物質を吸着・除去することが可能ですが、吸着材には吸着容量の限界があり、一定量を超えると効果が著しく低下します。そのため、定期的な交換や再生作業が必要になり、大規模処理や長期間の運用ではコストと管理の負担が大きくなります。

化学酸化処理

オゾンや次亜塩素酸など強力な酸化剤を用いて汚染物質を分解する方法で、難分解性有機物の処理にも効果が期待されています。しかし、この手法は設備や薬剤のコストが高い上に、酸化反応で有害な副生成物(例えば塩素系副産物)が発生することもあり、環境面での配慮が欠かせません。また、酸化剤の投入量や反応条件を厳密に管理しないと、処理効果が不安定になるリスクもあります。

根本にある社会的・運用的ボトルネック

従来型の水質浄化技術が抱える本質的な課題は、技術面だけでなく、社会的・運用的な側面にも根深く存在しています。

  • 高コスト構造:高度な浄化技術は初期投資・薬剤費・装置更新・人件費を含めてコスト負担が重い
  • エネルギー依存性:多くの従来型処理は、エアレーションによる酸素供給(生物処理)や薬剤反応の促進(化学酸化処理)に大量の電力を必要とします。さらに、膜処理(RO)や紫外線処理(UV)などの高度浄化技術では特に電力負荷が大きく、災害時や電力供給が不安定な現場では運用が難しくなるケースも少なくありません。
  • 複雑な管理運用:多段階の制御や高度な管理が求められ、専門技術者の常駐や定期的なメンテナンス体制の確保が不可欠です。
  • 対象物質の多様性への対応困難:単一の技術では多種多様な汚染物質を一括で処理することが難しく、現場ごとに複数の技術を組み合わせる必要があるため、設計・管理が複雑化しがちです。
次世代技術への期待

このように、現行の浄化技術は高度化・多様化しているものの、運用面・経済面・持続可能性の観点から限界が明白になりつつある。特に、緊急時対応やインフラが限定的な地域、災害現場、地方施設などでは、より簡便で柔軟かつ高性能な技術が求められている。

こうした背景を受けて開発されたのが、SepaTechマイクロバブルによる新たな浄化技術である。
次章では、その技術構造と核となるマイクロバブルについて詳述する。

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